著作権について考えること

musicaparadiso2006-04-27

著作権は最近とくに言われるようになったが、インターネットと日本の経済がハードからソフトへ移行してきたのが原因だと思う。


重厚長大産業が景気を牽引していた時代を過ぎて、労働生産力が中国やアジアの他国へシフトしていってしまったので、かつてのようにモノをつくってお金を儲けることが難しくなってしまった。最近、知的財産とか無形資産とか、いろいろ言われるようになり、それとともに、目に見えない「権利」をどうやって保護して、ビジネスにしていくかが日本の国力に関わってくる。

アメリカがすごいと思うのは物づくりもさることながら、この見えない「権利」を商売のネタにしようと早くから気が付いたことだと思う。この、なんでもお金にしようと思う商魂は、あらためてすごいと思う。



日本は今まで、権利というものを主張しようとすると、よってたかってバッシングする風習があるから、みなが権利を主張することになれていないし、できればお互い暗黙の了解というか、なあなあというか、そういう商慣習で来たと思う。そういう商慣習自体も、見直される時期が来ているんだと思う。

そうでなければ、いくら著作権だ、個人情報保護法だといっても、それは机上の話に終始して、結局形骸化してしまうと思う。しかし、一方でこんなふうに杓子定規にあてはめられないとも思う。特に著作権に関しては、文化庁のやり方は本当に間違っていると思っている。それを管轄する文科省は日本で一番だめな役所と断言しても良い。



僕は音楽が好きなので、音楽を通して、著作権というものがいったいどういうものか、自分なりに考えることがある。

すばらしい音楽を創り出す人には本当に感謝するし、これからも良い音楽をたくさんつくって、たくさんの人を癒して欲しいと思う。しかし、著作権があるからといってそういったすばらしい音楽をspreadすることを縛るのは本末転倒だと思っている。僕は自分の好きな音楽があると、たくさんの人に知ってもらいたいので、じゃんじゃんコピーして渡す。これは著作権侵害。しかし、あまり悪いことだと考えていない。それより、僕の渡したCDによってその人の音楽をしって、CDを買ったりする人がいれば、それで良いと思って開き直っている。なかば、確信犯的にやっている。だから、コピーコトロールCD(CCCD)などもってのほかで、音質も悪くなるし僕は絶対に買わない。



以前、ドラマとかの作曲をしている有名な作曲家と話す機会があり、思い切って「僕は××さんの音楽とか、人にコピーして渡したりしちゃってるんですけど、作曲家としてはそういうのは許せないですよね?ネットでのDLとかも、いやですよね?」と聞いたことがあった。

意外にも、××さんは「いや、俺は全然構わないよ。むしろ、宣伝してくれてると思ってる。もちろん、お金はきちんと欲しいけど、それはレコード会社や出版社、テレビ局との問題」という答えが返ってきて、なんだか、少し気が軽くなったし、昨今ネットでの著作権著作隣接権を声高に主張する評論家やマスコミに溜飲がさがった思いがした。



しかし、法律のことは詳しく知っておいて損はない。世の中は知らない人が損するようにできていて、著作権も知っていれば、高いお金を払ってフォトエージェンシーからネガを借りる必要など、全くないことが分かる。

たとえば、モナリザなどダヴィンチの作品を印刷物などに商用利用したいとする。ネットで転がっている写真を使うのは全く問題ない。しかし、世の中では写真にも著作権があるとか、ダヴィンチの絵は有名だからだめだとか、その絵を所有する財団や博物館の許可がいるとかいって、金儲けをする連中がいる。

500年も前の作品に著作権などない。いわゆる、パブリック・ドメインとよばれるものだ。著作物もあまりにも有名になって、皆が知るところになれば、保護する必要がないと、法律自体が定めているのだ。

だいたい、著作権の立法趣旨は、創造物から派生する権利を一定の間だけ守る、ということだ。つまり財産権だ。
これを未来永劫、法律が守るなんてあり得ない。意味がない。経済の発達を阻害するだけで、文化の発達を萎えさせるだけだ。



かつて、小澤征爾がだったか、バーンスタインだったかが言っていたのだが、「現在の音楽はすべて、モーツァルトやバッハ、ベートーベンの焼き直しに過ぎない。あのビートルズだってそうだ」と言ってのけるくらい、リサイクルが日常茶飯事の世界で、過去の音楽を使うのに、いちいち許可がいるようでは芸術や文化の発展はあり得ない。

だから僕は敢えて、ダヴィンチの絵を誰の許可も得ずに使って、ダヴィンチの絵を模写したりして、広告に使いまくった。今のところ、誰からのクレームも来ていない。来るわけがない。

ユーミンの涙

musicaparadiso2005-12-26

すっかり寒くなって、外に出ると冷たい風が顔に当たって年の暮れを感じさせるようになった。年の暮れって言うとなぜか分からないけど、昔から古本屋に行きたくなる。


デパートのなかの本屋や、ジュンク堂紀伊国屋はいつ行っても綺麗でエアコンも効いていて、ちっとも季節感はないけど、街のちっぽけな古本屋は人気もなくて、哀愁と埃とカビた本の匂いが詰まっていて、季節は秋か冬を感じさせるたたずまいだ。そして、経費削減と店主が寒がりの年寄りだから夏はエアコンの効きも弱いので、居心地も悪い。だから寒くなると、家までの寄り道で、体も温まるしコーヒーもごちそうしてくれるのでオヤジの顔を見に行ったりしてる。今日は、大掃除の洗剤を買いに行ったついでに、久しぶりに近況報告も兼ねて立ち寄ってみた。


大体本屋のオヤジは偏屈で頑固で物知りが多い。けど、その偏屈さと頑固さのせいで、物知りな一面を見せたがらないし、話し好きなくせに人見知りな人が多い。この両極端な人間性が好きだ。だから、いったん仲良くなるとたまに顔を出せば、値付けのためにレジの前で引き取った古本の山に顔を埋めている顔を上げて、人懐っこそうな笑顔を見せてくれる。


それで、今日は本当に久しぶりに寄ったので、レジの前でコーヒーを飲みタバコを吸いながら、今年のおれの七転八倒ぶりを話して、オヤジ相手に自分の「行く年来る年」をやってみた今日この頃、みなさんの今年はいかがな感じでしたか?


そうそう、以前小田和正の「クリスマスの約束」の話を書いたけど、今年はとんでもない内容で、とてもじゃないけど書く気になれないんだけど、少しだけ書こうと思う。大体からしオフコース解散後の小田和正はドラマやCMのタイアップばかりの仕事ばかりで、そりゃヒットもするだろうけど、心に残るような曲を作ってるワケじゃない。オフコースの時の「メディアに毒されない」、「レコード会社やスポンサーの言いなりにならない」っていう青臭いんだけど高潔なプライドは一体どこにいっちゃんだろうって言うくらいの変節ぶりに失望してるファンも多いだろう。少なくとも、鈴木康博がいた頃は自分たちのやりたいことと、商業的な成功を第一に考えてるマネジメントとのはざまで葛藤していた小田和正がいたはずだけど、今の彼には微塵も感じられない。


そんなとんでもなかった「クリスマスの約束」の放送内容はといえばスポンサーのナントカ生命にいいように編集されちゃったツアーの合間のオフショットやら、今までにステージに呼んだゲストとの箱庭的なしゃべりがインサートされたテキトーな内容に、妙な走り方だけは昔から変わってない小田の姿が印象に残るだけの番組だった。


極めつけは、武道館で収録されたコンサート当日、観客にも知らされていなかったサプライズ・ゲストにあの、中居正広が呼ばれたってことだ。「オレはメディアに毒されない」って散々公言していたのに、その権化のようなバカタレントをゲストに呼ぶなんてショックで、そのおかげで食べかけてた小川軒のレーズンウィッチのレーズンが鼻から飛び出そうになった、だけど、せっかく手に入れた世界一おいしいと言われている小川軒のレーズンウィッチを、こんなことで台無しにするわけにはいかないので、必死で飲み込んだ。


もうこれでさよなら、だ。ほんとうに小田和正にはがっかりだよ!(By 桜塚やっくん)だ。


それに比べ、同じ頃に放送していたユーミンの番組は良かった。その番組は「オールナイトニッポン」のテレビ版と言うことでフジでやっていたんだけど、今もFMでDJしてるユーミンらしく、地に足着いた感じのゆったりとした番組だった。ジャリタレごときに浮き足立って「オレが一声かければsmapだって呼べるんだぜ」みたいないやらしさを見せつけていた小田和正の品のなさとは格が違う。


ユーミンは誰を相手にしようと動じないところがいい。ゲストには浜崎あゆみ平井堅なんかが出てユーミンの曲を共演していたみたいだけど、両方ともあまり興味のないオレなのでよく覚えてない。だけど、だけど、ゲストにaikoが出ていて、この子にもあんまり興味はないんだけど、ユーミンの「ひこうき雲」を共演するっていうことになってユーミンが「なんでこの曲を選んでくれたの?」ってaikoに聞いたときの話だ。


「親戚のお兄ちゃんがいて、病気で入院していたみたいで気がついたらホスピスに移っていた。そのときに、そんなに悪かったんだってびっくりして、お見舞いに行ったときにユーミンのこの曲が病室に流れていたんです」って言って「それで、私もひこうき雲はよく歌うんですけど、その親戚のお兄ちゃんのことを思いながら歌います。いつかユーミンに会えたらこのことを伝えようと思っていたんです」そう答えたaikoの目からは涙があふれていた。オレもついもらい泣きしちゃってテレビを見たらユーミンも「うん、うん」ってaikoの話にうなずきながら大粒の涙を流していた。


その「うん、うん」ってあの低いドスのきいた声でうなずきながら、自分の年の半分以下にもいかないような若い子の話に心を揺さぶられて泣いているユーミンがすごく素敵だった。


ちなみに「ひこうき雲」は知ってる人は知ってると思うけど、若くして死んでしまった子を歌った歌だ。ユーミンのデビューアルバムに収録されてる名曲で、天才少女と呼ばれた頃の十代で作った歌なんだけど、大切な人の死に対する気持ちをaikoはこの歌に重ねて歌っているんだろう。そのaikoの気持ちに共感したユーミンの涙をこの「ひこうき雲」を聞くたびに思い出してしまいそうな今日この頃なのだ。

10分

musicaparadiso2005-12-23

またまた更新をさぼってしまって1ヶ月ぶりに書き込むんだけど、この更新をさぼっている間に、姉歯の構造計算書偽造問題は年を越えてさらに深刻化しそうだし、この1ヶ月の間に子供達が酷い殺され方をされる事件が相次いで起きたり、全国各地で記録的な寒さのせいで大雪が降ったり停電が起きたりして、とんでもなくお寒い年末になってきた。


そんな大変なコトがいろいろ起きちゃってる日本のなかで、東京の隅っこで目立たない感じで俺自身にもいろいろあった一年だったわけだけど、この年末にかけてまたまたいろいろあったのでブログの更新なんてできる状態じゃなかったのだ。


仕事は夜型の社長に毎晩付き合わされたおかげで、毎日終電かタクシーで、おまけに2日連続で領収書をなくしちゃったり、領収書をもらったらもらったで半分くらいの金額の前の客の領収書を渡されたのに気づかなかったり、寝不足と風邪で、ただでさえ鈍ってる判断力に輪をかけてしまった毎日が続いてたのでブログの更新なんてする気力も体力もなかった・・・。ってこんなのまたまたただの言い訳にしか聞こえないというか、言い訳なんだけど、続けていくための秘訣をブログのプロに聞いたことがある。仕事の打ち合わせでホリエモンと仲の良い、というか今年の夏の選挙でホリエモンの立候補をバックアップしたIT企業の社長によると「ブログの更新にかける時間は10分」だそうだ。


そんな短い時間で書けっこない、って思った。こんなどうでもいい内容を書きなぐるだけでも結構時間はかかる。単に文章を打つのが遅いっていうのもあるけど、優柔不断な性格からか何度も書き直したりとか、誤字脱字のチェックとか、そんなコトをしているうちに軽く一時間は過ぎちゃってるのだ。いくらなんでもこれは時間がかかりすぎるかもしれないけど、オレの場合10分っていうのは、パソコンの横にすでに原稿があって、ただキーボードを打つだけの時間に遣ってしまいそうな感じだ。


でも、毎日毎日繰り返すことを思い返してみると、歯磨き、朝の食事、お風呂、ひげそり・・・と10分くらいのものが次々と頭に浮かんでくる。うーん、確かに続けていくっていうのは10分くらいがちょうどいいのかも。


というわけで、今日はちょうど10分たったこの辺でやめておこうと思う(笑)。

ナベツネばんざい

musicaparadiso2005-11-22

姉歯建築事務所によるインチキマンション設計は連日報道の通りなんだけど、解体が決まった建物や営業を停止するホテルも出てきた。地震は待ってくれないから、震度5にも耐えられないビルなんか一刻も早く壊しちゃった方が良い。東京の、この街中でインチキマンションやホテルが倒壊すれば周囲のビルや住宅にも危険は及ぶわけで、周りに住んでる人達だって落ち着かないだろう。



だけど、だけど相変わらず行政や、販売したナントカっていう会社はのらりくらりと弁解するだけで人の命が危険にさらされているっていうのに、どういうことなんだろう。計算書を偽造した建築士に罪を全部かぶせてウヤムヤにしようっていうのが見え見えなんだけど、実際は設計事務所、建築会社、販売会社がグルになってやってるに決まってる。だって、実際現場で建築する人にしてみれば、この鉄筋の数はどう考えても少ないだろうとか、ここに鉄筋入れて無くていいのかなーとか、絶対おかしいと気づくはずだ。



それでも、現場からおかしいって声もあがらず、というか知っててやってるから言わないだけなんだろうけど、販売会社だって手抜き工事を知っていて、価格設定していたはずだ。昨日ゼネコンで営業してるセンパイから聞いたんだけど、建物で一番お金がかかるのは床と壁なんだって。考えてみれば当然だ、建物って言うのは四角い箱の固まりだから、結局一つ一つのセルが丈夫であれば集合体としてのビルも頑丈になる。壁や床を厚くすれば、それだけ耐震性もあがるんだろう。だからきっと、壁や床のコンクリートの量や鉄筋の数が原価に占める割合は大きいし、耐震性に直接影響するわけだ。



まーそれでも、この問題の真相が追究されることはないんだろう。建築といえば裏を返せばコワイ人達との癒着もあるワケで、政治家も絡んできっとおいしい思いをしてる人達がいるに違いない。でも何度も言うけど人の命が関わってるからなー。



というわけで、またまた朝日新聞で面白い記事を発見。読売の総元締めナベツネこと渡辺恒雄のインタビューが載っていたんだけど、「企業買収と球団経営」ってタイトルで、そのままズバリなんだけど、これが言いたい放題って言うか歯に衣着せぬと言うか、たぶんこの人の辞書にはタテマエとかそういう言葉は入ってないんだろう。



それで、インタビューの内容なんだけど、TBSの筆頭株主になった三木谷がもともと所有している楽天球団と、TBSが所有するベイスターズとを所有することになった場合、野球協約で禁止している複数球団所有にひっかかるかもしれないってことで、ナベツネのところへ出向いて話し合ったそうだ。



そのことを記者に聞かれたナベツネは「三木谷さんとホリエモンプロ野球へ参入を争ったとき、三木谷さんの方がまだ上品ということで、歓迎するようにオーナーに指示した」とか「ホリエモンが総選挙に落ちた後、武部幹事長から『ホリエモンに会ってくれ』と電話があったが、『プロ野球から排除した人間だから会わない』と断った。まもなくある財界の大物から電話で『ホリエモンカープを売るよう面倒を見てくれ』と頼まれたが断った」とか「ホリエモンは福岡県から出たかったが地盤が競合する山崎拓さんが反対した。だから、亀井静香さんへの嫌がらせとして広島県から出たけど、自民党の公認は出なかった。その借りを返そうという気持ちが、幹事長にあった」



ナベツネにかかれば自民党の大物政治家も政府に陳情にやってきた田舎の県議会議員並の扱いなのだ。それにしても面白いのは楽天の社長はちゃんと名前で呼んで「上品」だと言い、ライブドアの堀江のことは「ホリエモン」呼ばわりだ。相当、堀江のことは気に入らないんだろう、ってことがよーく、よーく分かるのだ。まーほんとこっちの知りたいことをいっぱいおっぱいしゃべってくれるので、ほんと、ナベツネ朝日新聞バンザイと、ここで一言言っておこう(笑)。



とにかく、去年のプロ野球再編問題で古田を中心に選手組合ががんばっているときに「たかが選手の分際で」とかのたまって世間の顰蹙を頂戴したナベツネなんだけど、やっぱりほんとの大物は違う(笑)。

ネットとテレビ

musicaparadiso2005-11-20

先日報道されて大騒ぎになっている、建築設計事務所が建築物の耐震強度などを示す「構造計算書」を偽造していた事件なんだけど、問題が明るみになってすぐに、偽造をしたとされる一級建築士がテレビで釈明会見していた。通常、こうした専門家が偽造とか、不正とかしても本人がすぐにマスコミの前に出てくることは少ないから、ちょっと怪しいと思った。


この建築士はあっさりと、計算書の偽造を認めて、建築事務所の経営のため、施工会社からの受注を増やすために偽造を行ったと言っているのだ。けれど、本当にそうだろうか。100%事実は違うだろう。


耐震強度の計算は、建築士にしか出来ないとしたって、計算業務の報酬なんて、きっとたかがしれてる。それに、こうして偽造したことが明るみに出たときのコスト、つまり刑事事件になって逮捕されたり、民事で損害賠償請求されたり、免許剥奪になったりしたときのことを考えたら、フツーの感覚では、こんな不正に手を貸すのは相当バカに違いない。


よくわからないけど、耐震強度の計算で何が分かるのかっていうと、建物の設計図面を見てその建物が予想される災害に耐えうるかどうかお墨付きを与える書類でしょ?だから、この書類でOKとなれば、その通りに建築してもいいってことになる。だから、かつて阪神大震災の時に崩壊した高速道路のように、鉄筋がきちんと入っていない建築物は、実際の強度と計算上の強度にギャップが生じるわけだ。


そして、なんでこんなインチキをするかっていうと、丈夫な構造にするのはお金がかかるからだ。鉄筋の本数は少なければ少ないほど、手間もカネも浮く。不動産の原価が安くつくから、安く売っても利益が出る。建築士がはした金欲しさに手を染めるような、そんなスケールの小さい問題じゃないのだ。実際、報道されているように震度5地震で崩壊の危険があるホテルやマンションに今も多くの人が住んでいる。これは殺人事件だ。



なんてこともいってみつつ、今日新聞を見ていたら、アメリカではネットと放送の融合が急速に進んでいる、らしい。らしい、というのは、ワーナーはAOLと、ディズニーはiTunesで、ユニバーサルはワールドメディアとそれぞれくんで、コンテンツ供給をしているんだけど、アメリカって今でもケーブルテレビの国のはずだ。アメリカにいるセンパイもネットの速度が遅いって言っているし、カナダにいる友達もネットはあんまり普及して無くてケーブルテレビはどこの家でもあるって言ってたけどなあ。



しかし、報道のようにネットのブロードバンド化は進んでいるようで、18歳以上のネット接続者のうちブロードバンド利用者が半数を超えたらしい。きっと、地域によってムラがあるんだろう。なにしろ東西南北に無駄に広い国だから、日本や韓国のようにインフラが整うには、時間もコストもかかるのだろう。


ネットと放送って言うと必ず問題になる、と言われているのが「著作権」の問題。ネット企業と組んでコンテンツを供給する映画会社やABCやNBCのようなテレビ局が、所有するコンテンツをなんでも流せるのか、ということなんだけど、アメリカは日本のように著作権絡みのややこしい問題は生じない。なぜかというと、アメリカではコンテンツの再利用(再放送、パッケージ販売、マーチャンダイジングなど)が放送会社か製作者に一任されていることが多いからだ。



日本ではブロードバンド化はここ1、2年で急速に進んでいるけど、肝心のコンテンツの供給が追いついていない。どこのブリードバンド放送のサイトも、とりあえずって感じでお茶を濁してるんだけど、流したいと思っても、タレント事務所の許可がタレントごとに必要だし、死んじゃったタレントはどうするのかとか、ドラマでどうしても一人だけ許可をもらえないタレントがいるためにネット放送できないとか、劇伴などサントラの著作権を作曲家ごとにもらわなきゃいけないとか、許可を取らないといけないモノが多すぎて、流すまでにコストがかかりすぎる。なので、なかなかネットで放送というわけにいかないのだ。



でも、これってよく考えたら「著作権」の問題なのだろうか。違う、単に「契約」の問題だ。だって、アメリカのように制作段階でコンテンツの再利用について著作権の許可をとっておけば、なんの問題も生じないのだ。日本でも、最近はネット放送も念頭にこうしたことを盛り込んで制作してる番組も多いけど、著作権について日本は業界的になあなあでやってきた歴史が長い。たとえば「機動戦士ガンダム」のキャラクターグッズ販売ではテレビ会社とアニメの制作会社が訴訟沙汰になっていたし、「宇宙戦艦ヤマト」だって突き詰めたら著作権の所在をプロデューサーと漫画家の間で明確にしてこなかったことが原因なのだ。



アメリカは訴訟社会と言われるけど、予想されるトラブルについてはあらかじめルールを決めておくっていう考えが徹底してるから、著作権がどうやらお金になるって気がついた人がどこかにいて、その権利を管理するっていうビジネスを始めたのだろう。でも、目に見えない権利っていうのを売買する感覚って、相当社会が成熟しないと無理だ。だって、「はい、これ100万円」って言われて手渡されたものが紙きれだったり、酷いときは何もナイんだから、信用するためには想像力がいる。



というわけで、日本でもアメリカでもネットがテレビを超える日はそう遠くない、って思う今日この頃なのだ。

アメリカと日本の下品さ

musicaparadiso2005-11-18

昨日、どっかのチャンネルで2001・9・11に起きた世界貿易センタービル同時多発テロのドキュメントをやっていたんだけど、その番組ではじめてハイジャックされた航空機の様子を知った。



テロが起きたとき、確か仕事から帰ってテレビをつけたら、2機目の航空機がビルに突っ込むところだった。そのときはテロが起きているなんて知らなくて、ただ呆然とテレビを見ていたような気がする。そのあと、イスラム系反米過激派の連中によって行われたってことが分かったわけだけど、世界史や日本史や地理が大嫌いでそういう教養について、ほとんどグランド・ゼロって感じな俺としては、なんだかよく分からないけど、やっぱりアメリカの強引なアラブの国々に対する政治的介入のひずみが引き起こしたのだろう、と思った。



かつてソ連という国があったとき、反共を掲げてあの手この手でアラブやイスラムの国々を利用してきたわけだけど、結局、イスラムやアラブの人々にしてみれば都合の良いように使われただけで、彼らが手に入れたモノなんて何一つなくて、失ったモノの方が多いのだ。しかも、その戦いの爪痕は今でも残っていて、あちこちに埋められた地雷によって足を失ったり、子供達が手榴弾で遊んでいて命を落としたりしているのだ。



というけで話が横道にそれちゃったんだけど、べつに反戦・反米なんて事が言いたいワケじゃなくて、昨日見たテレビの話に戻ろうと思う。よく考えたら、突っ込んだ航空機の中がどんな様子だったのか再現した番組だったんだけど、乗っていた人々はみんな、この憎むべきテロの犠牲になっている。しかも、犯人達は操縦室に乗り込んで、機長や操縦士のかわりに航空機を操縦するくらいの知識を持っていたから、管制塔との連絡もそこで途絶えている。



なのに、なぜ再現できるかっていうと、客室乗務員が乗客からクレジットカードを借りたりして、航空機に備え付けの電話でチケット予約センターに電話をして、ハイジャックされたことを報告していたのだ。そのやりとりの一部が実際の音声とともに再現されていた。彼女たちは思ったより冷静に、航空機がハイジャックされて、けがをしている人もいることを伝え、犯人達が座っていた座席番号を予約センターのオペレーターに告げ、犯人を特定したのだった。



この冷静な行動に、ちょっと背中が凍り付くような気がした。だって、まさにこのやりとりが行われていた時、犯人達は「アラーは偉大なり」と叫び、自分たちを鼓舞しながら貿易センタービルに突っ込むためだけにコックピットで操縦桿を握っていたのだ。これからどんな運命が訪れるかも知らずに、彼女たちは乗客の命を救おうと懸命に地上と連絡をとっていたのだ。そして、突然そのときはやって来て、地上で応対していた女性がいくら呼びかけても返事はなかった。



こうしたドキュメントの合間に、機長の遺族のインタビューもインサートされるんだけど「乗客を救おうと努めた夫や客室乗務員達を誇りに思う」なんて言うのだ。アメリカって言う国は、頻繁に悲惨な事件が起きている国だ。それは、銃が規制されていないせいもあるだろうし、世界最大の移民が集まる場所で、貧富の差が天と地くらい差があるせいもあると思うけど、悲惨な事件が起きても、その悲しみを包み隠さないところがすごい。突然事件に巻き込まれ、大切な人を失った人々の悲しみは、多くの人が分かち合うことによって救われると信じてるから、テレビや新聞は下品なくらい報道する。日本の下品さは違うところにある。どっちがいいとか、悪いじゃないと思うけど、日本は隠そうとする人々の気持ちなんか考えずに無理矢理に報道しようとする下品さだ。

ふじいあきら似

musicaparadiso2005-11-17

今日せっかく仕事が休みだったんだけど、また歯医者に行くのを忘れてしまった。今、治療中の歯が2つあって、1つはもう去年の冬ぐらいからかかってるから、1年もかかってることになる。その歯はもともと虫歯を治療して、金属を埋めていたんだけど、確かハイチューを食べてたらとれてしまったのだ。



それで、そのまましばらくほっておいたら、冷たいものだけでなく、コーヒーなんかもしみるようになったのでびっくりして、近所の歯医者に駆け込んでレントゲンを撮ってもらったら、神経まで虫歯がいってて神経を取らないといけなくなってしまっていた。


実は、神経をとった歯は、すでに3つくらいあって、確かに神経をとる治療は時間がかかる。時間ばかりかかって、つまり歯医者にとっては手間ばかりかかって、手っ取り早く儲からないから、神経をとるより、歯を抜いてしまう歯医者も多いようなのだ。抜いてしまえば、インプラントや、差し歯など、歯医者にとってはおいしい治療ができるのだ。でも、良心的なところは、抜いてしまうより、やっぱり神経をとっても、歯が残っていた方がいいので、よっぽどじゃないと、歯を抜かない。


だから、今通っているところはお金にならないことを、それこそ根気よく続けてくれるのでありがたいのだけど、1年!である。これはこれで、問題じゃないだろうか。その歯医者は平日は院長と、もう一人、男のセンセイで患者を診ている。受付や歯石をとってくれる歯科衛生士の女の子が2,3人のいたって普通の歯医者なんだけど、来る患者に時々変なのがいる。



ちょうど久しぶりに治療を再開した頃、残っていた神経が膿んでしまい、結構な痛みが残っていて憂鬱な気持ちで診察を待っていたら、治療を終えた若い男の子が受付で次回の予約をしていた。そのとき、どうしても次回の治療は院長が忙しくって、もう一人のセンセイになりますけど、いいですかって受付の女の子に言われたその男の子は、「えっと、そのセンセイって・・・。ああ!ふじいあきらに似た人ですよね!」



ふじいあきら」って誰なんだろう?それにしても、近頃の子は全く予想もつかない事を言ったりする。そんな事を言われた受付の女の子は、「ふじいあきら」が誰だか知っているのだろう、「はあ?あ、はい・・・」声にならない笑いをかみ殺して、必死にスケジュール帳に目をやっている。その日、「ふじいあきら」似のセンセイに治療を受けながら、「帰ったらネットでチェックしないと」なんて考えていたので、いつもならすぐ「麻酔して下さいッ」ってお願いするんだけど、あんまり痛みも気にならずに済んだ。



そんなわけで、今年の年末をこの2005年という年をコイツの下世話な笑いで迎えるのかと思うと、いまから憂鬱で仕方がない。「みのもんた」である。よりによって、国民の日本の年末を代表する番組「NHK紅白歌合戦」のマスター・オブ・セレモニーに、この男が決まってしまったようだ。朝、昼と毎日この男の酒焼けした顔を嫌と言うほど拝んでいるのに、まだ、足りないのだろうか?



そうか、選んだのは、NHKのバカ役員連中だから、民放の事は詳しくなくて、テレビをつけたら、この男が出ていない日はないというのに、裏金作りや接待や、愛人の相手をするので忙しくて、そんなことも知らない連中なんだろう。みのもんたで低迷している視聴率をなんとかできると思っているあたりが浅薄で、卑しい限りだ。悔しかったら歌合戦に相応しい歌手を出せ。せっかく、ユーミンが出るというので、久しぶりに紅白を見ようか、なんて思っていたところなのにコレで台無しだ。悔しくて仕方がないのだ。