アメリカと日本の下品さ

musicaparadiso2005-11-18

昨日、どっかのチャンネルで2001・9・11に起きた世界貿易センタービル同時多発テロのドキュメントをやっていたんだけど、その番組ではじめてハイジャックされた航空機の様子を知った。



テロが起きたとき、確か仕事から帰ってテレビをつけたら、2機目の航空機がビルに突っ込むところだった。そのときはテロが起きているなんて知らなくて、ただ呆然とテレビを見ていたような気がする。そのあと、イスラム系反米過激派の連中によって行われたってことが分かったわけだけど、世界史や日本史や地理が大嫌いでそういう教養について、ほとんどグランド・ゼロって感じな俺としては、なんだかよく分からないけど、やっぱりアメリカの強引なアラブの国々に対する政治的介入のひずみが引き起こしたのだろう、と思った。



かつてソ連という国があったとき、反共を掲げてあの手この手でアラブやイスラムの国々を利用してきたわけだけど、結局、イスラムやアラブの人々にしてみれば都合の良いように使われただけで、彼らが手に入れたモノなんて何一つなくて、失ったモノの方が多いのだ。しかも、その戦いの爪痕は今でも残っていて、あちこちに埋められた地雷によって足を失ったり、子供達が手榴弾で遊んでいて命を落としたりしているのだ。



というけで話が横道にそれちゃったんだけど、べつに反戦・反米なんて事が言いたいワケじゃなくて、昨日見たテレビの話に戻ろうと思う。よく考えたら、突っ込んだ航空機の中がどんな様子だったのか再現した番組だったんだけど、乗っていた人々はみんな、この憎むべきテロの犠牲になっている。しかも、犯人達は操縦室に乗り込んで、機長や操縦士のかわりに航空機を操縦するくらいの知識を持っていたから、管制塔との連絡もそこで途絶えている。



なのに、なぜ再現できるかっていうと、客室乗務員が乗客からクレジットカードを借りたりして、航空機に備え付けの電話でチケット予約センターに電話をして、ハイジャックされたことを報告していたのだ。そのやりとりの一部が実際の音声とともに再現されていた。彼女たちは思ったより冷静に、航空機がハイジャックされて、けがをしている人もいることを伝え、犯人達が座っていた座席番号を予約センターのオペレーターに告げ、犯人を特定したのだった。



この冷静な行動に、ちょっと背中が凍り付くような気がした。だって、まさにこのやりとりが行われていた時、犯人達は「アラーは偉大なり」と叫び、自分たちを鼓舞しながら貿易センタービルに突っ込むためだけにコックピットで操縦桿を握っていたのだ。これからどんな運命が訪れるかも知らずに、彼女たちは乗客の命を救おうと懸命に地上と連絡をとっていたのだ。そして、突然そのときはやって来て、地上で応対していた女性がいくら呼びかけても返事はなかった。



こうしたドキュメントの合間に、機長の遺族のインタビューもインサートされるんだけど「乗客を救おうと努めた夫や客室乗務員達を誇りに思う」なんて言うのだ。アメリカって言う国は、頻繁に悲惨な事件が起きている国だ。それは、銃が規制されていないせいもあるだろうし、世界最大の移民が集まる場所で、貧富の差が天と地くらい差があるせいもあると思うけど、悲惨な事件が起きても、その悲しみを包み隠さないところがすごい。突然事件に巻き込まれ、大切な人を失った人々の悲しみは、多くの人が分かち合うことによって救われると信じてるから、テレビや新聞は下品なくらい報道する。日本の下品さは違うところにある。どっちがいいとか、悪いじゃないと思うけど、日本は隠そうとする人々の気持ちなんか考えずに無理矢理に報道しようとする下品さだ。